活用事例

HACCP温度記録の自動化とは?手書き・巡回管理の課題とIoTによる改善方法

公開日:2026/08/05

HACCP運用では、食品の安全性を確保するために、加熱・冷却・保管など各工程の温度を継続的に監視し、その記録を適切に残すことが重要です。しかし実際の現場では、担当者による巡回や手書きでの温度記録が続いており、「記録漏れが心配」「巡回の負担が大きい」「夜間や休日の異常に気付けない」「監査時の記録整理に時間がかかる」といった課題を抱える食品工場やセントラルキッチンも少なくありません。

近年は、人手不足や品質管理の高度化を背景に、温度管理や記録の自動化への関心が高まっています。IoT温度センサーを活用すれば、温度の自動計測・自動記録・異常通知・データ保存までを効率化でき、HACCP運用における温度管理をより確実に支援できます。

本記事では、食品工場やセントラルキッチンでよくある温度管理の課題を整理するとともに、HACCP運用を支援する温度記録の自動化方法や、産業用ワイヤレスセンサー&管理プラットフォーム「MONNIT」を活用した運用例について分かりやすくご紹介します。

HACCP温度記録の自動化とは?手書き・巡回管理の課題とIoTによる改善方法
HACCP温度記録の自動化とは?手書き・巡回管理の課題とIoTによる改善方法

食品工場・セントラルキッチンでよくある課題

HACCP運用では、加熱・冷却・保管などの温度を継続的に監視し、その記録を残すことが重要です。
しかし、多くの現場では巡回や手書き記録が中心となっており、担当者の負担やヒューマンエラーが課題となっています。
特に多い課題は次の3つです。

よくある課題 発生しやすい問題
巡回による手書き記録 記録漏れ・記入ミス・作業負担
夜間・休日の管理 異常の発見が遅れる
管理設備の増加 巡回時間・管理工数が増える

巡回による手書き記録

多くの現場では、担当者が一定時間ごとに巡回し、温度を確認して紙へ記録しています。
この運用では次のような課題があります。

  • 巡回に時間がかかる
  • 記録漏れ・記入ミスが発生する
  • 繁忙時は後回しになりやすい
  • 記録を探すのにも時間がかかる

夜間・休日の確認ができない

営業時間外は設備異常に気付けないケースがあります。
例えば、

  • 冷蔵庫の故障
  • 冷凍庫の温度上昇
  • 停電による設備停止

などが発生しても、翌日の巡回まで分からないことがあります。

管理対象設備の増加により巡回負荷が高まる

設備が増えるほど巡回負担も増加します。
冷蔵庫や冷凍庫といった管理対象が増えることで、

  • 巡回ルートが長くなる
  • 確認時間が増える
  • 確認漏れが起こりやすくなる

といった問題につながります。


HACCPの温度記録を効率化するには

前章でご紹介した温度記録に関する課題を改善する方法の一つとして、IoTを活用した温度記録の自動化があります。温度センサーで測定したデータを自動的に収集・保存することで、担当者が現場を巡回して温度を確認し、記録用紙へ書き写す作業を減らすことができます。

温度記録を自動化することで、次のような効果が期待できます。

  • 巡回や手書き記録の負担を軽減
  • 記録漏れや記入ミスの防止
  • 温度記録の一元管理
  • Excelで開けるデータ形式(CSV)での出力による記録確認や監査準備の効率化

さらに、設定した温度範囲を外れた際に担当者へ通知する機能を組み合わせることで、夜間や休日を含めた温度異常の早期把握にも役立ちます。

こうした仕組みは、人による確認や判断をすべて置き換えるものではありませんが、日常的な温度記録業務の負担を軽減し、HACCP運用を支援する有効な手段となります。


HACCP温度記録を自動化する方法

HACCP運用における温度記録を自動化するには、温度を自動で測定し、そのデータを収集・保存する仕組みが必要です。
一般的には、次のような流れで温度の測定・記録を自動化します。

自動化の流れ 内容 効果
温度を自動測定 温度センサーで一定間隔ごとに温度を測定 巡回・目視確認の負担を軽減
データを自動保存 測定日時とともに管理システムへ保存 記録漏れ・転記ミスを防止
記録データを出力 データで温度記録を出力 記録確認や監査準備を効率化
温度異常を通知 設定温度を外れた際にメールやSMS等で通知 異常の早期把握・迅速な対応

温度異常の通知は、HACCPにおける温度記録の必須要件ではありません。しかし、夜間や休日を含めた温度管理を効率化し、異常への迅速な対応を支援する機能として、多くの現場で活用されています。

温度センサーによる自動計測

冷蔵庫・冷凍庫、保管庫、加熱・冷却工程などの温度把握が必要な箇所にセンサーを設置し、あらかじめ設定した間隔で温度を自動測定します。

自動計測に切り替えることで、担当者が温度計を確認するために毎回巡回する必要がなくなり、次のような課題の改善が期待できます。

  • 定時巡回にかかる作業工数
  • 測定の実施漏れ
  • 確認時刻のばらつき
  • 温度計から記録表への転記ミス

ただし、センサーを設置する際は、測定対象や現場環境に応じて、設置場所・測定間隔・温度範囲を検討する必要があります。

クラウドや管理システムへの自動保存

温度センサーで測定したデータを、インターネット経由で利用できる管理システム(クラウド)や社内の管理システムへ自動送信し、測定日時とともに記録として保存します。紙の記録表を使用する場合と比べ、次のようなメリットがあります。

  • 温度データを設備ごとに一元管理できる
  • 過去の記録を期間指定で確認できる
  • 記録用紙の保管や整理にかかる負担を減らせる
  • 複数拠点の温度を同じ画面で確認できる

測定から保存までを自動化することで、手書きや表計算ソフトへの転記作業を削減し、記録漏れや入力ミスの防止につながります。

記録データの出力・監査対応

クラウドや管理システムに保存された温度データは、必要な期間や設備を指定して確認・出力できるようにします。CSV形式などで出力できれば、記録確認や監査資料の準備にかかる時間の短縮が可能で、次のような用途に活用できます。

  • 日報・月報の作成
  • 温度記録の社内確認
  • 取引先への報告
  • 監査時の記録提示
  • 設備異常発生時の履歴確認

異常時の自動通知

あらかじめ温度の上限値・下限値を設定し、その範囲を外れた場合に担当者へ通知する機能を利用できます。通知方法はシステムによって異なりますが、管理画面上のアラートやメールが一般的な方法です。

異常時に通知を受け取ることで、夜間・休日や担当者が現場を離れている時間帯でも温度変化を把握しやすくなります。設備異常への迅速な対応や、原材料・製品への影響を最小限に抑えるための運用支援機能として活用されています。


MONNITでHACCPの温度記録を支援

MONNITでHACCPの温度記録を支援

HACCP運用における温度記録を効率化するには、温度の自動測定・記録・保存を継続して行える仕組みが重要です。
産業用ワイヤレスセンサー&管理プラットフォーム「MONNIT(モニット)」は、温度記録業務の自動化を支援するソリューションです。食品工場やセントラルキッチンをはじめ、世界中のさまざまな業種で導入されており、後付けで導入しやすいことから、既存設備を活かしたIoT化にも活用されています。


世界で導入実績があるMONNITとは

MONNITは、米国MONNIT Corporationが開発・提供する産業用ワイヤレスIoTソリューションです。温度・湿度・漏水・振動・電流・開閉など多様な種類のセンサーをラインアップし、製造業、食品工場、物流、医療、データセンターなど幅広い業界で利用されています。

センサーで取得したデータは、無線ゲートウェイを経由してクラウド管理システム「iMonnit」へ自動送信されます。管理画面では、リアルタイムで測定値を確認できるほか、過去データの蓄積やExcelで開けるデータ形式(CSV)での出力、しきい値を超えた際の通知設定などにも対応しています。

日本では、株式会社ワイドテック(当社)がMONNITの正規代理店として販売・サポートを行っています。

MONNITのセンサー「ALTA」シリーズの主な特徴

MONNITの「ALTA」シリーズは、工場や倉庫、施設などでの継続的な監視を想定して開発された産業用ワイヤレスIoTセンサーです。主な特徴は次のとおりです。

  • 配線工事が不要で後付けしやすい(センサーは電池で動作するため、電源用の配線工事を行わず、既存設備に後付けで設置できます)
  • 920MHz帯の無線通信を採用
  • 低消費電力で動作するように設計
  • 広い施設や複数設備をまとめて監視できる(複数のセンサーをゲートウェイへ接続し、測定データを管理システムへ集約できます)
  • 温度以外のセンサーも追加できる(ALTAシリーズには、温度だけでなく、湿度、漏水、開閉、振動、電流など、さまざまな状態を測定するセンサーがあります)
  • 通信データのセキュリティに配慮

MONNITの測定精度と測定範囲は?

HACCP運用における温度記録では、監視対象に適した測定範囲を備えていることに加え、管理基準を判定できる測定精度も重要です。

MONNIT「ALTA」標準温度センサーの測定範囲は-40~125℃で、出荷時の初期精度は±1℃です。また、iMonnit上で校正値を適用することにより、±0.25℃の精度で運用できる構成も選択できます。

測定精度や測定範囲は、使用するセンサーの種類やプローブ、測定する温度帯によって異なります。また、食品の中心温度など、管理基準の判定に高い精度が求められる用途では、校正方法や設置位置を含めて検討する必要があります。

【画像:「ALTA」シリーズ想定精度と範囲】
画像:「ALTA」シリーズ想定精度と範囲

導入イメージ(ケーススタディ)

食品工場やセントラルキッチンでは、冷蔵・冷凍設備だけでなく、加熱・冷却工程など複数の温度管理ポイントがあります。MONNITは、それぞれの工程に温度センサーを設置することで、測定から記録、異常通知までを自動化し、HACCP運用における温度管理業務を支援します。

(表:食品工場の温度管理の流れ一例)

工程 MONNITの活用イメージ
1:加熱工程を監視 加熱設備や食品内部温度を継続的に測定
2:冷却工程を監視 急速冷却設備や冷却室の温度を監視
3:冷蔵庫・冷凍庫を監視 保管設備の温度を24時間自動で測定
4:温度を自動記録 設定した間隔で温度データを自動取得
5:異常時は担当者へ通知 設定温度を超えた場合にメール・SMS・電話などで通知
6:記録を自動保存 温度データをクラウドへ保存し、CSV出力にも対応

このように、加熱から冷却、保管までの各工程を継続的に監視し、温度記録の自動化によって巡回や手書き記録の負担軽減を支援します。

MONNITが向いている現場

MONNITは、HACCP運用における温度記録の効率化を目的として、次のような現場で活用できます。

  • 食品工場 ・・・加熱工程・冷却工程・保管設備の温度管理
  • セントラルキッチン ・・・厨房設備・保管庫・冷蔵庫の温度管理
  • 社員食堂・給食施設 ・・・調理室・冷蔵庫・冷凍庫の温度管理
  • 惣菜工場 ・・・製造工程・保管工程の温度管理
  • 冷蔵・冷凍倉庫 ・・・保管温度の継続監視
  • 食品物流センター ・・・荷受け・保管エリアの温度管理

これらの現場では、温度記録の自動化による作業負担の軽減だけでなく、複数設備の一元管理や夜間・休日を含めた継続的な温度監視にも活用されています。


まとめ|HACCPの温度記録は「自動化」で継続しやすい運用へ

HACCP運用では、冷蔵・冷凍設備や加熱・冷却工程などの温度を継続して記録し、適切に管理することが求められます。しかし、巡回による測定や手書き記録では、作業負担や記録漏れ、転記ミスなどが発生しやすく、現場の負担となるケースも少なくありません。

こうした課題に対しては、温度センサーを活用したIoTによる自動化が有効です。温度の自動測定・記録・保存を行うことで、日々の温度管理業務を効率化するとともに、CSV出力による記録管理や、異常時の通知による迅速な対応も実現できます。

産業用ワイヤレスセンサー&管理プラットフォーム「MONNIT」は温度の自動測定・記録・保存を通じて、HACCP運用における温度管理業務の効率化を支援するワイヤレスIoTソリューションです。冷蔵・冷凍設備の監視から、食品内部温度や加熱・冷却工程の温度管理まで、現場の運用に合わせたセンサーを選択でき、食品工場やセントラルキッチン、社員食堂、食品物流センターなど、さまざまな現場で活用されています。

「自社の設備でも導入できるのか知りたい」「最適なセンサー構成や概算費用を知りたい」といったご相談も承っております。

また、実際の設置環境で効果をご確認いただけるPoC(概念実証)のご相談にも対応しております。

HACCP運用における温度記録の自動化をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。センサー選定からお見積もり、導入方法まで、お客様の運用に合わせてご提案いたします。


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